世界的な芸術家を数多く輩出しているスペインで、またグラナダという穏やかで美しい場所で、日本の浮世絵展を開催出来ますことは、誠に光栄であり、喜びであります。
日本の歴史の中で江戸時代(1603-1867)というのは、世界的にみても稀有な長い政権でありました。国内の争いも終わり、平和で安定した時代はそれまでの武家中心の社会から、商人などの庶民が力を持ち、庶民の知恵が数多くの娯楽文化を生み出す時代となりました。
さらに1630 年頃より行われた鎖国という国政は、芸術的な面において言えば、それまでにあった文化がさらに進化し、また新たな分野が生まれるなど、日本独自の文化を確立させました。その伝統は現在に至るまで引継がれています。茶道、能楽、歌舞伎、そして浮世絵などがその代表的なものです。このような時代背景に生まれた浮世絵は、当時の人々の喜怒哀楽や流行、風習が描かれ、庶民のための自由で、堅苦しくない風俗画として、今でも世界中で大変評価されております。
また、浮世絵とよばれているものには、絵師が絹や紙に、直に筆で描いた肉筆(にくひつ)画と、大量生産できる木版画があります。肉筆の浮世絵は、特定のお客様の注文により制作されるもので、最初から最後まで一人の絵師によって描かれた作品です。一方、木版画は、版元、絵師、彫り師、摺り師と分業で完成されたもので、一度に量産される利点から情報誌や読み物など印刷物として庶民に広がっていきました。
この展覧会は、江戸後期(1800 年頃)に描かれた美人たちを中心に、肉筆画と木版画とを同時に展示致します。細い筆で描かれた直筆の表現と、彫りと摺りの仕上げとの違いや、着物、帯、下駄など小物までじっくりご覧頂き、江戸の美、日本の美を楽しんで頂ければ嬉しく存じます。
Pavaneras,19 18009 Granada, SAPIN
TEL:+34 958 22 10 72
http://www.juntadeandalucia.es/cultura/museos/MCTGR/?lng=en