東京藝術大学絵画科油画の企画する「異界の風景」展は、油画現職教員14名の作品約70点と東京藝術大学大学美術館収蔵の作品約100点によって構成される展覧会です。
国内唯一の国立総合芸術大学である東京藝術大学。前身である東京美術学校の創立以来120余年の歴史の中で、初めてとなる「油画科」主催による展覧会。東京藝大油画科の教授・准教授、総勢14名が勢ぞろいし、自らの作品と、それぞれが選んだ東京藝術大学大学美術館収蔵の作品を相対させ、自ら展示します。
保科豊巳 「夜の太陽を見る」 2009年 木材、空間、映像、音
工藤晴也 「回廊」 2006年? モザイク・立体(大理石、ズマルト、金箔ガラス、煉瓦片、セメント)
中村政人 「メタユニット_信号」 2003年? 信号、コントロールプログラムほか 協力:日本信号?
現代作家の作品同士の組み合わせや、ジャンルや時代を超えた組み合わせが40種以上出現。現代に生きるアーティストの作品が、浦上玉堂、司馬江漢、安藤広重らの作品と並ぶ興味深い組み合わせも多数あります。
「異界」を創造行為が発生する場をさす概念と定義し、表現が生まれる媒介となる「風景」を提起する試みです。
(左) 坂口寛敏 「パスカルの庭―葉山1」 2007年 土に消石灰、大理石、植物
「暖かいイメージのために'95-3,4,1」 1995年 綿布にアクリル絵の具
(右) 浦上玉堂 「青松丹壑図」 19世紀 紙本墨画
(左) 佐藤一郎「那智二ノ滝」1996年 麻布、白亜地、墨汁、卵テンペラ絵具、油絵具 227.5×182.0cm
(右) 東山魁夷「渓音」1986年 紙本着彩 169.0×117.3cm
東京藝術大学大学美術館の収蔵作品に対して、油画現教員作家が油画において推し進める創
作、研究、教育からの新たな視点によるアプローチを提示し、相互作用に基づく制作・展示を行います。
江戸後期から明治期にかけて、独自の好奇心と大胆な解釈とともに進められた遠近法の導入や、西洋画技法の解読によって描かれた実験的な風景画を現在の視点で読み替えることを試みます。
また明治期から現代に至る絵画作品を西洋の技法、思想を消化しながらも、いかに眼前の風景―日本の風土―と対峙し、模索して「風景」を組み立てていったのかという表現の方法論を検証します。
この「異界の風景」展が未だ描かれていない21世紀の風景に出会う契機となることを願うもの
です。
東京藝術大学絵画科油画現職教員14名:
絹谷幸二、小山穂太郎、坂口寛敏、齋藤芽生、保科豊巳、坂田哲也、O JUN、東谷武美、三井田盛一郎、中村政人、工藤晴也、佐藤一郎、大西博、池田嘉人
小山穂太郎 「Phantom / ―逃げ水―2009」 2009年 映像
池田嘉人 「pre-story」 2009年 BLD
■油画科教官による作品解説
※11:00?12:30 予約不要 11:00にエントランスホール集合
※解説予定の担当教員は変更することがあります
10月7日(水) 池田嘉人、保科豊巳
10月14日(水) 齋藤芽生、佐藤一郎、小山穂太郎
10月21日(水) 三井田盛一郎、工藤晴也、東谷武美、大西 博
10月28日(水) 齋藤芽生、三井田盛一郎、O JUN、絹谷幸二
11月4日(水) 佐藤一郎、工藤晴也、坂口寛敏、保科豊巳
11月11日(水) O JUN、東谷武美、大西 博、小山穂太郎
11月18日(水) 坂口寛敏、池田嘉人、中村政人
■シンポジウム
10月27日(火) 17:00?18:30
東京藝術大学美術学部中央棟第1講義室
パネラー:
塚原史(早稲田大学法学学術院教授)
鷹見明彦(美術評論家)
東京藝術大学絵画科油画教員14名
入場無料
■藝大アートプラザ展示企画 異界の風景ドローイング展
9月29日(火)?11月1日(日)
〒110-8714 東京都台東区上野公園12-8
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)