この度IZU PHOTO MUSEUMでは、2009年10月の開館記念として「杉本博司 光の自然(じねん)」展を開催いたします。国内外で高い評価を受けてきた杉本博司は、近年建築のプロジェクトに関わるなどその活動の幅を広げており、今回は自身が手がけた初の美術館空間における自作の展示となります。
展示内容は写真術のパイオニアの一人、ウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボットへのオマージュともいうべき写真からなります。タルボットが残した紙ネガから170年という時を経て、浮かび上がる<光子的素描:フォトジェニック・ドローイング>は、ネガという楽譜の杉本の手による変奏であり、今まさに消えようとしている像を転写・継承する試みでもあります。
またフィルムに直接電流を流すことで、その光跡を焼き付けた<放電場:ライトニング・フィールド>は、科学者でもあったタルボットが中断した放電実験から影響を受けています。
今回の「光の自然(じねん)NATURE OF LIGHT」展は、世界初の写真集となったタルボットの『自然の鉛筆』(The Pencil of Nature)とも共鳴しながら、自然が自ずから描く自画像という写真の起源を喚起します。「写真についての写真」を表現し続ける現代美術作家による、銀塩写真へのレクイエムをぜひご覧ください。
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