建築写真がたどりついた、世界の辺境
フォイル・ギャラリーでは2009年10月16日 (金)から11月2日(月)まで、尾形一郎 尾形優写真展「HOUSE」を開催致します。
写真集『メキシコ:バロック』『メキシコ:ホテルズ』『ウルトラバロック』など、メキシコのデコラティブな教会やホテルを独自の嗅覚で捉えた写真で話題を呼んだ尾形一郎(当時は小野一郎名義)。約8年ぶりの個展となる本展では、世界5か国、6か所を妻である建築家・尾形優と共に現地へ赴き撮影したシリーズから成る濃密な作品群を中心に構成されます。
アフリカの僻地、ナミビアの砂漠に埋もれていく、かつてダイヤモンドに沸いた街の痕跡。アールデコ風の室内を埋め尽くす大量の砂は、人間の欲望が形作った「家」そのものを飲み込むかのような、抗えない時の流れを感じさせます。その他、エーゲ海に浮かぶギリシャの島に佇む白い鳩小屋、日本の遊郭や霊柩車などから見える「サムライバロック」など全6か所を、家や建築が単なる造形物としてだけではなく、そこに住んだ人の痕跡までもを写し出すような眼差しで捉え、その空間と時間に横たわる陰と光をしずかに浮かび上がらせます。
彼方から人は、夢や憧れ、名誉や栄光、そして虚栄心までもを「家」に託し、投影してきました。その刹那的な想いや有機物の無常さと、ユニークで美しく、時には過剰な建築の造形が共存した「HOUSE」は、建築写真の向こうへと私たちを誘います。
また本展にあわせ、約9年ぶりとなるの写真集『HOUSE』もフォイルより刊行致します。展示では約50点のプリントの展示のほか、写真集『HOUSE』の完全版とも言える本展特製写真集(B4判約70ページ)6冊を公開する予定です。この機会にぜひご高覧下さいますようお願い申し上げます。
「ギリシア:鳩小屋」
「日本:サムライバロック」
尾形一郎 尾形優 HP
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