展示風景
人類がはじめて手にした絵の具は、赤土を材料にしたものでした。このことからもわかるように、赤という色彩は、わたしたちと非常に深い関係にあります。いのちの元である血液や、文明の起源となった火の色である赤は、太古から生命・情熱・活力・祝賀・権力など幅広い意味と結び付けられ、世界各地で儀式や装飾に用いられてきました。
絵画の世界でも、旧石器時代の洞窟壁画にはじまり、洋の東西を問わず赤は頻繁に使われてきました。たとえばキリスト教絵画では神の愛の象徴として聖母マリアの衣服の色に使われたり、仏教画では煩悩を焼き尽くす炎の色として不動明王とともに描かれたりします。作家の内面の表現や、さらには視覚的・心理的効果をもたらすものとして用いられる場合もあり、こうしたさまざまな使われかたによって、まさに作品を彩ってきました。
本展は、CCGA所蔵のタイラーグラフィックス・アーカイブコレクションから、ロバート・マザウェル、ジェームズ・ローゼンクイストらの手による、赤を基調にした版画作品を展示します。本展が、赤という色彩がもつ力にあらためて思い至る機会となれば幸いです。
展示風景
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