鈴木其一(1796?1858)は、江戸琳派を興した酒井抱一の高弟。はじめ抱一の叙情的な作風を慕ったが、次第により明快で鮮やかな独自の画風を確立した。モチーフの形や色にこだわる造形意識は、抱一よりむしろ光琳を髣髴とさせるものがあり、かつ近代絵画に先行する洗練された感覚も見出される。江戸琳派が得意とした花鳥図のみならず、美人画や歴史画など、其一の画域の広さも興味深い。
本展は其一画のさまざまな画題、画風を、初期作から晩年作までの諸作品に探る。また其一は多くの弟子を育て、抱一の実質的な後継者であった。其一を取り巻く他の江戸琳派画家の作品もともに陳列することにより、其一画の特色と広がりが明らかになるであろう。
鈴木其一筆 春秋草木図屏風左隻
鈴木其一筆 朴に尾長鳥図
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