本展は、大正から昭和前期の近代東京において興隆し、海外からも高い評価を得た「新版画」の代表作品を一堂に紹介する、日本初の大型展覧会です。
■新版画とは
新版画とは、江戸時代の浮世絵版画と同様の技法によって制作された大正から昭和初期に興隆した木版画です。風前の灯であった伝統的な木版技術。それらを復興するとともに、新たな芸術を生み出そうと、版元、版画家、彫師、摺師らが結集し、さまざまな画題の2,000点を超える
新版画を制作したのです。
1930年代の欧米では、浮世絵につらなる優れた日本美術として、新版画は衝撃をもって受け入れられました。
本展では、その経緯をものがたる、世界最高峰の新版画コレクション、ムラー・コレクションを日本初公開いたします。
川瀬巴水「清洲橋」
Arthur M. Sackler Gallery,S2003.8.761
1931年(昭和6) スミソニアン協会アーサー・M・サックラー・ギャラリー蔵
■ムラー・コレクションとは
新版画のコレクターとして著名であったロバート・ムラー氏(1911?2003)は、新版画の高度な技法や、描かれた情景に感銘を受け、1932年(昭和7)に、川瀬巴水の「清洲橋」からコレクションを開始しました。彼は、日米開戦間際の1940年(昭和15)に来日するなど、新版画の版元や版画家と交流を深め作品を収集しました。その総数は、明治錦絵等を含め4,000点を超え、
まさに世界最大級の日本近代版画コレクションと言えます。
コレクションは、彼の没後、米国スミソニアン協会アーサー・M・サックラー・ギャラリー(ワシントンDC)に、寄贈されました。本展では、日本との関わりが特に深い、選りすぐりの新版画作品を展示します。
山村耕花「踊り 上海ニューカルトン所見」
1924年(大正13) 江戸東京博物館蔵
山村耕花「四世尾上松助の蝙蝠安」
Arthur M. Sackler Gallery,S2003.8.3434
1919年(大正8) スミソニアン協会アーサー・M・サックラー・ギャラリー蔵
〒130-0015 東京都墨田区横網1-4-1
TEL:03-3626-9974
http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/