1978年にイランのテヘランに生まれたドラタバディは2001年にAzad Art Universityを卒業後、現在は拠点を東京に移しTokyo Wonder Siteでのグループ展「アートの課題What game shall we play today? (2008)」に参加するなど作家活動を続けています。
ドラタバディの作品におけるメインサブジェクトは人であることが多く、イスラム社会での女性のあり方や母国イランで見られる光景、現在生活する東京に生きる人々の現状などをミクストメディアによるドローイングやペインティング、彫刻作品や文字を用いたインスタレーションなど多岐に渡る手法で表現しています。
エコーを意味する「Pejvak」と名づけられた本展はメインスペースのインスタレーションと小スペースの写真作品で構成されます。本作品は6月12日に行われたイラン大統領選挙の結果に抗議する人々が起こした運動に着想を得ていると作家は言います。平和的な運動であったにも拘らず多くの人が傷つき、命を落とし、逮捕されたというこの抗議活動の後も、人々は夜10時から11時の間、屋根の上で一斉に「Allah o Akbar (god is great)」と唱えることによりプロテストを続けているといいます。
ドラタバディの作品は特定の地域や状況下にある人々を描きつつ、人間一般に共通する意識、心理を描いているようにも見えます。作品を生み出す事により人間の孤独、苦悩、不自由な側面に言及しながらも、見る者に人間の価値、尊厳に対する自覚を促し、対話を持つきっかけを作り出しているのかもしれません。
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