<青木淳の「自由研究」夏休みの植物群>
植物群 TARO NASUという東神田の襞の奥で夏休みに起きていること
道に面した古い建物の脇を奥に進んで、扉を開けると、そのすぐ先に、まっすぐ下に向かう階段があって、 それを降り切った背の高い空間が、TARO NASUのギャラリーだ。町とはつながっているけれど、町の襞の奥深くにあって、 表の町とは別の世界が息づいているような感じがする。
その襞の奥は、普段、白い光の粒が均一に満ちている。しかし、時は夏休みの8月。 光は消され、きっと、暗闇が支配しているはずだ。そして、それもTARO NASU の空間のもうひとつ顔なのだ、と、 この空間をデザインしたぼくは思っている。
夏休み、TARO NASUという東神田の襞の奥、その暖かく湿っぽい暗闇のなかで起きていることを想像する。 たとえば、植物が、人知れず、独自の進化をとげている。暗闇という水で満ちた地下プールの底で、 重力が弱まって、粘菌類が、ふわふわと、肥大している。あたりを探る小さな光を獲得したツタ植物が、互いに互いを照らして出している。(青木淳)
今回の展覧会では上記のコンセプトにもとづき、青木淳のイマジネーションから生まれた「植物」の立体作品を展示します。
青木淳が自らのデザインした画廊スペースで自らの創造物を展示する、これは大好評を博したTARO NASU OSAKA での個展「taronasubambi」につぐ2度目の試みです。
自らデザインした空間を読み解くこと。空間の新しさを発見すること。展示をかえるたびに変化していくギャラリー空間の、 そのとらえどころのない魅力そのものを呈示すること。オトナ版夏休みの宿題ともいえる、知的な遊び心いっぱいの企画です。
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