「光」というタイトルのもとに、現代日本を代表する二人のアーティスト、松本陽子(絵画)と野口里佳(写真)による二人展を開催いたします。
松本陽子(b. 1936)は、1960年頃より抽象絵画の制作を始めますが、1960年代末に滞在したアメリカ合衆国でアクリリック(アクリル絵具)に出会い、新しい絵画の可能性を認識します。これは1980年代から1990年代にかけて実を結び、ピンクを主調とした独自の抽象絵画のスタイルを完成させました。近年では、緑の油彩画連作により、新しい境地を開いています。
1990年代初めより写真による制作活動を開始した野口里佳(b. 1971)は、《フジヤマ》(1997-)などの完成度の高い連作により、早くから注目を集めました。卓抜なテーマの選択と特有の距離感をたたえた画面は、写真というメディア自体の本質に迫るものとして、国際的にも高い評価を受けており、活躍を続けています。
野口里佳《太陽 #23》
2008 年、C プリント、40.3 x 60.3 cm
ギャラリー小柳協力
松本陽子《光は地平に輝いている》
2008 年、油彩/カンヴァス、193 x 259cm
写真:山本糾、ヒノギャラリー協力
松本陽子と野口里佳は、手がけるメディアや表現手法、そして世代も異なっています。しかしながら、光がその作品の重要なテーマの一つとなっているという共通点を持っています。むろん光は、内外の芸術において、さまざまな意味で古くから重要な主題となってきました。そのなかでも彼女たちの表現には、光の直接的な表象をめざすという、きわめて困難な試みを見て取ることができるように思われます。展覧会では、二人の作家の作品を、近作を中心にそれぞれ個展のかたちで展示することにより、現代芸術の一つの達成を紹介いたします。
野口里佳《飛ぶ夢を見た2 #1》
2009 年、C プリント、125x187.5cm
ギャラリー小柳協力
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