櫃田伸也(ひつだのぶや 1941年東京生まれ)は、優れた画家であると同時に優れた教育者でした。櫃田は愛知県立芸術大学で1975年から2001年まで教鞭をとりましたが、彼のもとへ自然と引き寄せられ、やがて現代アートのトップランナーとして羽ばたいた作家は少なくありません。奈良美智、杉戸洋なども、櫃田の教え子です。そして、彼らをはじめ多くのアーティストが、櫃田と共に過した時間を今でも貴重な体験として捉えています。この展覧会は、そのような櫃田と彼の教え子たちが織り成す創作の平野(はらっぱ)を、教え子たちの視点から紹介するものです。
そのため展覧会の見どころは、櫃田の作品と日本を代表するアーティストの作品を、これまでにない新しい側面から楽しめる点にあります。櫃田の作品と並行するかたちで、彼らが櫃田のもとで学んだ初期作品、新作、代表作を織り交ぜて展示します。それにより、櫃田作品の魅力に改めて気づくと同時に、多くの作家が櫃田のもとからどのように展開していったのかも明らかとなるでしょう。そして、展覧会全体をめぐることで、櫃田と多くのアーティストが出会い交差したその瞬間の密度をも感じ取れるにちがいありません。
奈良美智 《My daddy's pullover (パパのセーター) 》 1994年 愛知県美術館寄託
櫃田伸也を中心に東海地方ゆかりのトップアーティストを一挙にご紹介
櫃田伸也と、彼のもとから世界へと羽ばたいたアーティストの作品を、新作、近作、旧作あわせて200点あまり、一挙にご紹介いたします。絵画を中心に、彫刻、写真、映像と幅広いジャンルの作品をご覧いただけます。また、愛知県美術館と名古屋市美術館の二会場をつかった大がかりな展覧会ですので、見ごたえも十分あります。
あいちトリエンナーレのプレイベントである本展覧会を通じて、東海地方がいかに豊かな芸術的土壌を持っているかをご理解いただけることでしょう。そして、2010年に行われるあいちトリエンナーレの未来図も、おのずと浮かびあがってくることかと思います。
アーティスト主導の温かみあふれる展覧会
櫃田伸也を師と慕うアーティスト3名―奈良美智、杉戸洋、森北伸―が、今回の展覧会を企画しています。そのため、通常の展覧会とは一味異なり、アーティスト同士の交流が随所に見られる温もりあふれる展覧会となっております。
例えば、各アーティストのごく初期の未公開作品も本展覧会では多数展示いたします。どの作品も、櫃田伸也のもとで学んでいた時期に作られたものです。芸術家の卵であった彼らの挑戦や格闘と、彼らを温かく見守る櫃田伸也の眼差しが感じられることでしょう。
本展覧会でしか実現しない面白企画が多数
本展覧会のために、各アーティストが特別に敬愛する櫃田伸也の肖像画を描いてくれました。もちろん、どの作品も新作です。本展覧会を見逃すと、これら「櫃田先生像」を一堂にご覧になるチャンスは二度とないかもしれません。アーティスト主導の展覧会ならではの特別企画となります。
ほかにも、出展作家によるトークイベント、ワークショップなども数多く企画されています。大変ユニークな催しとなりますので、こちらもぜひ、ご参加くださいますようお願い申し上げます。
森北伸 《機智の発掘》 2008年 作家蔵 撮影:怡土鉄夫
▼出品作家▼
櫃田伸也
安藤正子、加藤英人、加藤美佳、木村みちか、城戸保、小林耕平、小林孝亘、佐藤克久、設楽知昭、杉戸洋、登山博文、奈良美智、額田宣彦、長谷川繁、櫃田珠実、古草敦史、村瀬恭子、森北伸、渡辺豪
「あいちトリエンナーレ2010 プレイベント 放課後のはらっぱ?櫃田伸也とその教え子たち?」
同時開催地: 名古屋市美術館 8月22日(土)?10月18日(日)
〒461-8525 愛知県名古屋市東区東桜1-13-2
TEL:052-971-5511(代)