梅津の作品には、油絵、金属の先端によって描かれる素描(メタルポイント)、ペン画、の3つの技法によってそれぞれ描かれた3タイプの作品があります。いずれも点描のような細かなタッチで繰り返し描き出される独特の手法は、小学2年生の時からのものであることが最近になって発覚し、この逃れられない特徴を作家自ら「手癖のようなもの」と言います。
今回の個展では、ゴールドのメタルポイントによって描かれた「金の素描(ゴールドデッサン)」に的を絞って展示を構成致します。
本展にあたり梅津は、素描(デッサン)を単に絵画(タブロー)に対しての素描と捉えるのではなく、より広い意味での「素描」として捉え直してみたいと言います。
モチーフは、飛行機、女の子、マレーヴィッチの黒い正方形の素描、女性誌、人影、花、手......など様々で、いずれも、写真やネット画像、スケッチなどから、作家が描きたいと思ったものだけを連想ゲーム的に抽出し、アトリエではなく、野外やファミレスの窓際の席など、敢えて自然光のもとで描かれています。
一見すると銅版画や写真のように見えるほどに細密に描かれた画面は、近づけば黒い粒子のひとつひとつが蠢き出し、金属的な反射をたたえた表面は怪しげな光りを放ちます。
作家によって捉えられた世界の断片とも言える各々の図像が、繋がり、溶け合い、何を浮かび上がらせるのか、是非ご期待ください。
「裏切り者」
2008年
h.24.1 × w.19.2 cm
板に金筆
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