三岸節子記念美術館では、このたびは写真家の津田直(つだ なお 1976--)をご紹介します。
津田は、2001年に初個展「遠くの近く」を開催、その後「近づく」と題されたシリーズなどを展開し、制作過程においては常に旅を通して風景と向き合い、写真のみならず多くの言葉を紡いできました。風景を見たままではなく見えないものを撮る。はじまりの前の予感と終わりの後の余韻を捉える彼独自の風景論からは、この世のどこにもない視座が生まれています。
本展では暦を元にした作品「七曜(ひちよう)」のシリーズ、2008年に発表された和紙を使用した作品「盥(たらい)星図(せいず)」などに加え、日本列島の最北端の礼文島、最南端の波照間島への旅によって生み出された新作を発表します。
©Nao Tsuda/courtesy of hiromiyoshii
津田はこの旅を機に新たなフィールドワークに挑み、そこで出会った風景への思索を写真により浮き彫りにします。そもそも日本の端とはどこなのか、そして浮かび上がるこの国の姿・かたちとは。さまざまな問い掛けを抱きながら、この列島に散在する島々を訪れ、辿り着いた先に潜む世界を会場にてご覧ください。津田直の眼に映し出された新しい世界への感覚は、わたしたちが今いるこの場所から、遥か古(いにしえ)の時へと、そして見えない未来へと旅立たせてくれることでしょう。
室礼「朧」
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