1965年、日系二世としてサンパウロに生まれた大岩オスカールは、ゆたかな物語性とユーモア、そしてあふれる想像力によって世界の姿をさまざまに描き出す作家です。マンガや美術、雑誌に親しむ幼少時代を過ごした大岩は、大学では建築を学ぶ一方で作品制作を開始、1991年には「第21回サンパウロ国際ビエンナーレ」に参加します。その後、東京(1991?2002)、ニューヨーク(2002?)と生活の場を移しながら、自身を取りまく都市や歴史に向き合い作品を生み出してきました。機知に富んだ数々のパブリックアートやオブジェ、瑞々しい絵画作品はどれも一人の都市生活者の視点から世界を自在に読み解く想像力と新鮮な発想にあふれています。
《野良犬)》2004年 アルフレッド・チュウ蔵
サンパウロで過ごした子どもの頃,空き地に捨てられたごみをのぞきに来る野良犬達がいました。そんな昔の思い出を現代版にしてこの作品を描きました。大きな幽霊のような煙でできた野良犬は,なかなかうまくいかない世の中を見ています。(作者の言葉から)
本展では、この越境の時代を生きる一人の作家のビジョン、その複眼的な作品世界を、サンパウロ時代の初期作品からニューヨークで描かれた最新作までの約80点を通してご紹介します。常に自身の生活する場からスタートし、自然、社会とのかかわりを問いながら独自の作品世界を確立していく大岩の姿勢、その独創的な作品群は、同時代を生きる私たちに向けて、「想像する力」をあらためて問いかけ、多くの示唆を与えてくれることでしょう。
《ガーデニング(マンハッタン)》2002年 東京国立近代美術館蔵
ニューヨークに移動して間もない頃に描いた大きな作品です。僕は当時のニューヨークから,街はとても美しくて,人々はショッピングセンターやレストラン,ミュージカルに押し掛けて,いつも賑わっているけれど,精神的には何かにおびえているような印象を受けて,このような絵を描きました。きれいでありながら怖いような絵です。(作者の言葉から)
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