このたび、小杉放菴記念日光美術館では、〈間島秀徳 Kinesis / 水の森?小杉放菴とともに?〉展を開催いたします。
「現代日本画の旗手」として注目を集めている作家の一人である間島秀徳氏に、自身の作品と、当館が所蔵している小杉放菴の作品とを組み合わせた展示を構成していただき、小杉放菴の新たな魅力を見出すとともに、その対比の中で、「日本画」というジャンルについて再考することを試みます。
Water Works No. 6
1999(平成11)年
麻紙・水/墨/顔料/アクリル/樹脂膠、パネル
200.0×90.0cm
日立市郷土博物館
間島秀徳氏の作品は、パネルに貼った麻紙にアクリル絵具や墨で下地を作り、その上に膠と水で溶いた胡粉や岩絵具、大理石の粉などを吹き付けたあと、パネルを縦、横、斜めへと自在に傾けることで制作されます。作家自らが身体を使ってパネルを動かし、画面を傾斜させることで、重力の作用により、顕色材と固着材を溶かし込まれた水が麻紙の上を動き回りながら、その痕跡を画面に刻み込むかのように、幾重にも定着してゆくのです。そして、完成した作品には、見る者にさまざまなイメージを連想させるとともに、深淵へ引き込むような重厚な奥行と、宇宙的な広がりさえも感じさせる、確固とした絵画空間が現出しています。
東京藝術大学で日本画を専攻して、墨や紙、膠、岩絵具など、いわゆる「日本画」の画材を積極的に用いつつも、近代以降の「日本画」を規定する枠組みからは自由であろうとし、さらに、自然の中で展示したり、建築とのコラボレーションなどを行なってきた間島秀徳氏の作品が、日光の美術館という環境の中で小杉放菴の作品と出会ったときに、どのような相貌を現わすことになるのか、ぜひ、御期待ください。
Kinesis No.316 (hydrometeor)
2007(平成19)年
麻紙・水/墨/顔料/アクリル/樹脂膠、パネル
245.0×1800.0cm (表裏)
作家蔵
〒321-1431 栃木県日光市山内2388-3
TEL:0288-50-1200