江戸時代の町屋の風情を今に残す「みやのまえ文化の郷」に位置する展覧会場は、ひびのこづえが暮らしをたのしむために「あったらいい」と思いデザインしたもの、着る人によって表情が変わる服、使い手が自由に使える家具、暮らしの中でいきいきとしたアクセントになる日常の品々、そして、劇場、テレビ、プロモーションビデオなど非日常の場で異彩を放つ個性的な衣装の数々によって、驚きの空間でありながら居心地のよい世界となります。
「しんびよう」2006年8月号
展示空間を一変させるひびのこづえの作品群には、モノの本質に向きあうアーティストの視点によってあらわされた、生きものの根源的なかたちがあらわれています。そして、ひびのこづえが生み出す作品の個性的な線、色、かたちは、はっとさせるような斬新さをもちながらも使い手になじみ、環境にとけこみます。それはまるで、花や蝶、蜘蛛、てんとう虫が一見奇抜で色とりどりな姿をしながら、まさしく自然の一部となったコスチュームをまとっているかのようです。
それが、ひびのこづえの作品にふれる人々を「着たい」「使いたい」と直感的に思わせる理由だといえるでしょう。
「絨毯の椅子」2008年
本展では、創作の原点となるデザイン画をはじめ、300点をこえるひびのこづえの代表的な作品を展示。美術館隣接の旧岡田家住宅内にある現存する最古の酒蔵(重要文化財/江戸時代)では、野田秀樹作・演出、松たか子、宮沢りえ主演の「パイパー」の衣装を大胆に展示します。
また、展示している作品