日本画家石本正は、一九二〇年に島根県那賀郡岡見村(現在の浜田市三隅町岡見)に生まれました。まわりは緑であふれていました。蜻蛉を追いかけたり、蝉をとったり、一日中蟻地獄を眺めたり。家の前を流れる土田川でかっちょう(川海老)をつかまえて、自転車のスポークで突いていじめたこともありました。
石本の作品には石見で過ごした幼年期からの様々な体験が反映されています。過去の様々な思い出が浮かんで絵になるのです。画家は、幼い頃に石見の大自然と向き合い、命の大切さや生きる喜びを感じ取ることが出来た。大人になっても子ども時代の素直な感性を持ち続けることが出来たのが良かったと思う。子どものころのふるさとの思い出が、自分の創作の原点なのだ。と話します。
ふるさとへの思いが目に見えるような形で表現されたのは、二〇〇一年四月の石正美術館開館の頃からです。「幡竜湖シリーズ」をはじめとして、ふるさと石見を意識した作品が続々と制作されてきました。
本展では、ふるさと石見を描いた作品を初めて一挙公開します。作品を通してふるさと石見の素晴らしさを感じ取っていただきたいと思います。
石本正 幡竜湖の乙女(2007年)
〒699-3225 島根県浜田市三隅町古市場589
TEL:0855-32-4388
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