山下清(1922[大正11]年?1971[昭和46]年)は、12歳頃から貼絵の制作に著しい才能を示し、15?17歳で発表した貼絵の作品群が多くの著名画家やジャーナリストたちに激賞されます。しかし、障害ゆえの孤独感と兵役への恐怖にさいなまれていた山下は18歳のときに突然姿を消し、3年ものあいだ放浪を続けました。その後も山下は、折々にふらりと旅に出るようになり、その足跡は日本国内のみならずヨーロッパやエジプトにまでおよんでいます。
「ロンドンのタワーブリッジ」1965年 (貼絵) ©清美社
色鮮やかな貼絵をはじめ、軽快な水彩画やペン画、版画『東海道五十三次』など、忘れられない旅の風景を描いた山下清ですが、じつは彼の"旅景色"のほとんどは、旅先で制作されたものではありません。彼は、旅から戻った後に驚異的な記憶力でイメージを再現する才能をもっていました。心に焼きついた風景を、まるで目前に見ているかのように鮮やかな作品に仕上げていったのです。
本展覧会では、山下が生涯にわたって制作した貼絵・水彩画・ペン画・陶芸などの作品128点を紹介し、彼の画業を展望します。また、彼が旅路で愛用したリュックサックや帯・ゆかた、愛蔵のゴッホの画集、関連書籍などもあわせて展示し、放浪の天才画家の生涯をたどります。
「富士山」1957年 (ペン画) ©清美社
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