19世紀後半にイギリスで起こったデザイン運動「アーツ&クラフツ」の広がりを、ウィリアム・モリスを中心とするイギリス、ウィーン工房がひときわ輝いたヨーロッパ、そして民芸運動が花開いた日本での美しい作品からたどります。装飾芸術の殿堂、ロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館(V&A)との共同企画で、V&Aと国内の美術館などから、家具、テーブルウェア、ファブリック、服飾、書籍、グラフィック・デザインなど約280点を一同に出品します。なかでも必見は、柳宗悦らが昭和初期に建てた「三国荘」の再現展示です。柳の収集品や若き浜田庄司、河合寛次郎、黒田辰秋らの作品で飾られた室内には、民芸の原点を見ることができます。手仕事のよさを見直し、自然や伝統から美を発見し、シンプルなライフスタイルを提案する。アーツ&クラフツが生み出した精神は、現代の生活に影響を与えながら、今なお遠い理想のようにも映ります。本展は多彩な作品を通してその美意識を味わい、生活の中の芸術について思いをめぐらせる機会となるでしょう。
ウィリアム・モリス《いちご泥棒》(内装用ファブリック)、1883年
ヴィクトリア&アルバート美術館 ©V&A image / Victoria and Albert Museum
C.F.A・ヴォイジー、置き時計、1895-96年
ヴィクトリア&アルバート美術館 ©V&A image / Victoria and Albert Museum
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