1922年パリに生まれたルシュールは、40年パリ美術学校に入学しますが在学したのはわずかな期間でした。なぜなら彼の興味はキュビスムを含む現代絵画にあり、特にボナールやマティスの光に強く惹き付けられたからです。たった一人パリのさまざまなアトリエで修練を積み、フランス南部、ノルマンディー、ニューヨーク、ロンドン、中近東でデッサンを重ね、それをもとに作品を描き、53年から、いくつかのサロンに参加。イギリス、イタリア、ポーランド、ソビエト、日本での国際的な催しに招待されるまでになりました。
同様に個展も各国で開催しており、52年ギャラリー・ビヌー(パリ)での開催を皮切りに、ギャラリー・コアール(パリ)、レイセスター・ギャラリー(ロンドン)、デーヴィッド・フィンドレー・ギャラリー(ニューヨーク)、ギャラリーベルフォンテーヌ(スイス)などで発表、71年には日本で初めてとなる個展を日動画廊で開催、東京・名古屋・大阪各都市を巡回。またピカソ美術館、シュノンソー城での個展、フランス最大のアートフェアF.I.A.Cでの発表など、世界的な活躍を果たし、2002年には酒田市美術館、笠間日動美術館、松坂屋美術館で巡回展を開催、色彩の詩人と形容されるルシュールの作品は多くのファンを魅了しました。
現在では、パリ現代美術館、リュクサンブール美術館、グルノーブル美術館、ブルックリン美術館、メトロポリタン美術館など世界を代表する美術館に作品が収蔵され、日本でもひろしま美術館、笠間日動美術館がルシュールの作品を所蔵しています。
「黄色い肘掛椅子」 油彩 92×73cm
暖かな光に満ち、柔らかな色彩に包まれた大胆な構成の作品がある一方で、人物や静物を中心とした作品も多く描いているルシュール。室内に入り込んだ光は、揺らぎながら、ときには部屋全体に行き渡り、またときには一部分を照らすようにして、色彩をもたらします。ルシュールの作品は、溢れ出る色彩に満たされて、いつまでも光が揺らめき続けているかのようです。
今回、展覧会初日には、"画廊の夜会"として、お飲み物をご用意し、ゆったりと作品を鑑賞していただけるよう夜9時まで開廊させていただきます。ルシュールの作品世界をどうぞお楽しみください。
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