谷村彩(1983年生まれ)は、主に木彫の作品と、鉛筆によるドローイング作品を制作しています。
木の枝の皮を剥いだ白木に三つ編みが彫られた木彫の作品は、人の手が触れた時に白木と同化するのをイメージしています。
やがて木の枝は時間が経つにつれ黒ずみ、人の肌の色から髪の毛のような色へと変化していきます。
この作品は素材である「木」とモチーフの「三つ編み」、それら作品に触れる谷村自身、それぞれの持つ時間の流れを合わせられているのです。
和紙や雁皮紙に鉛筆で描かれるドローイングは、髪の毛の固まりが束ねられ、編み込まれながらうねうねと増殖しているように見えます。
谷村の作品に繰り返し登場する髪の毛や三つ編みは、谷村の時間についての思いや考えや感覚を表現しており、「瞬間」に生じるものと「時間の蓄積」によって生じるものの双方を敏感に感じ取りながら、作品へと反映させています。
時間の経過によって得られる木の色の変化や、瞬間的に形が生み出されてゆくドローイング作品などが、谷村が意図しない幻想的なものとなることがあっても、それらは谷村にとっては必然としてとらえられているのです。
1月に行われたArt@Agnesでも好評だった、谷村彩の初個展を是非ご高覧ください。
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