ナターシャ・ロウは、インティメイトな瞬間を切り取ったセミヌードの作品で知られています。はっきりとポーズをとったものもあれば、ふいの一瞬をとらえたものまで、モデルは作品の中で様々な表情を見せます。シンプルな背景にも関わらず、作品からはベッドルームやリビングルームなど、モデル達が時間を過ごす親密でクローズドな空間が感じられます。
作品はアルミニウムのパネルがキーとなり、色鮮やかな服から覗くカーヴィなバストや細いウェストラインを強調する境界線の役割を果たします。トラディショナルなヌードのジャンルと、肖像画のジャンルの境を超え、ナターシャ・ロウの作品はモデル達のユニークな表情やフェミニンなエッセンスを表現します。
通常の画材ではなく工業的な材料を用い、一つ一つの作品は完成までに複雑で長い時間をかけて作られます。
まずモデルをナターシャ自身が撮影し、絵におこすことから始まり、その後、金属のシートにドローイングのラインを写し、そこにどうイメージを落とし込み、色を乗せていくか決めていきます。最後の工程でアルミパネルの上に色を乗せていきますが、ここが一番難しく、頭を悩ませることとなります。時間をかけ何層にも色を重ねることによって、彼女の作品の特徴である鮮やかで、一瞬にして目に飛び込んでくる色味が生まれます。
ナターシャ・ロウが用いる素材やテーマはポップアートの美学を喚起させ、力強い配色はトム・ウェッセルマンの作品を思い起こさせます。この色づかいは時として作品を抽象画の様に、ある特定の形ではなく、色が生み出す複雑な構図のようにもみてとれます。
http://www.paulsmith.co.jp/space/gallery/2009_05_natasha_law.html
Paul Smith SPACEでは、展覧会期間中ナターシャ・ロウの代表的なアルミニウム作品からドローイングまでを展示・販売するほか、アートワークをプリントしたT シャツを限定で販売いたします。(2 型・各20 枚限定/各8,400円)
※ナターシャ・ロウの作品はEleven Fine Art, London, UKを通じて世界中で発表されています。
ナターシャ・ロウ
1970 年生まれ。2000 年にCamberwell Collage of Art を卒業。ロンドン在住。
東京都渋谷区神宮前5-46-14 3F
http://www.paulsmith.co.jp/space/gallery/