美術という概念が生まれる以前から、人間は生命の構造やその美を研究し、追求してきました。長い時の流れの中で生命体は様々な形で変化を続け、私たち個人という単体もまた、様々な要因により、時に形体を変化させます。また、体には外部環境から得た情報を印象や知覚として受け取る役割があります。私達の生活は、通常、実用的な価値判断によって支配されていますが、意識的に認識や思考を歪曲させることで、世界に対して新たな視点を得ることができます。体を通して得た印象を関連づけ、結合させることでそれぞれを比較し、類似性、時間や場所の連続性、因果関係というお互いの関係性を見出すことができるのです。これはアートがなしえる役割の一つであり、美術的な印象派、世界に存在する物事の中に共通点を探すだけでなく、各事物の独自性を明かすことができます。こうした美術の機能において、体というモチーフは、特別な意味をもつ個体として、また、集団的なシンボルとして表現の源となってきました。
行動の主体である体は、時に言葉より強い印象、多くのメッセージを放ちます。その中でも、動植物の姿形は説きに特別な意味付けをされ、時にシンボリックな存在として数多く作品化されてきました。
一つとして同一のものが存在しない体は、アーティストによって思考され作品となることで、時に作品自体に生命を与えます。本展覧会では、美術における永遠の主題でもある「体」をテーマに、科学と生命、そして美術の関係を考える契機を与える作品を紹介します。作品の中で息づく生命体から新たな認識、思考を感じていただけると思います。
▼出品作家▼
Joseph Beuys、大竹伸朗、George Segal、草間彌生
〒010-0001 秋田県秋田市仲通り1-3-5 秋田キャッスルホテル2F
TEL:018-825-5588
http://www.fmoca.com/