板谷波山「葆光彩磁珍果文花瓶」は、近代の陶磁器として平成14年に宮川香山の作品と共に初めて国の重要文化財に指定された作品です。
板谷波山は 「葆光釉」と呼ばれる光を包み込むようなやわらかな質感の釉薬に特徴があり、「葆光彩磁珍果文花瓶」でも大型の器面全体をむらなく覆い、その柔らかな光の 表現は独自の世界を創り出しています。
波山は、葆光釉の他にも「彩磁」「白磁」「青磁」など様々な技法、また中国の吉祥模様やインドネシアの更紗の模様を 典拠とするなど、デザインにおいても学習の成果を遺憾なく発揮しました。そこで「葆光彩磁珍果文花瓶」が制作された大正期を中心に波山の作品をご覧いただ きたいと思います。
また波山の明治から大正にかけては、陶磁器界が大きく変化を遂げた時代でもありました。
本展覧会では、明治・大正にいきた陶芸家が技術やデザイン においてどのように試行錯誤したかをご覧いただきたいと思います。
さらに陶芸界では板谷波山を含め、三代清風与平、初代伊東陶山、初代宮川香山、初代諏訪 蘇山の五人が帝室技芸員に任命されていますが、その五人の作品を一同に展示いたします。
初代宮川香山「倣洋紅意花瓶」
初代諏訪蘇山「青磁切立香炉」
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