この展覧会では、現代のアーティストたちが産み出した新たな「影」のファンタジーをご紹介いたします。
電灯の普及する以前、夜には、月や星、炎といった光源が、今よりもずっと明るく輝いていました。そして、人や物の形を写し取り、実体を持たず、変幻自在に大きさを変える「影」は、たいへん不思議な(魔法のような)存在として、人々の目に映っていたことでしょう。
実際、世界には、インドネシアの人形劇ワヤンや、江戸の写し絵のように、さまざまな「影」の物語が受け継がれてきました。それらは、現代の私たちがみても驚くほど「映像的」な世界観を持っています。
現代のCG(コンピュータ・グラフィックス)の世界においても、影の付け方は、その映像が本物らしく見えるかどうかを決める重要な要素の一つです。
本展の観客参加型の作品では、観客の落とす実際の影が、映像の中の偽物の影と交わり、それ自体でひとつの作品となっていきます。
現代の高度化する映像環境のなかにおいて、本展が、影という身近な現象を通じ、人間のイマジネーション(想像力)を見直すひとつの機会となるかと思います。
清水寛子「partner(パートナー)」
近森基++久納鏡子「Little Glimmer Forest」
Photo:Matron
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