【作品紹介】
オーストリアのアーティスト集団ジェラティンは、1993年以降、様々な問いかけを孕んだ参加型プロジェクトを行い、話題を呼んできました。
「アイデアは退屈から生まれる」と語る彼らの作品は、子供の遊びの延長線上にあるようなユーモアを感じさせますが、それを裏打ちしているのは従来のアート・マーケットや現代のライフスタイルに対する鋭い視線に他なりません。
それらは日用品などのごくありふれた物を用いて再構築され、一種の怪奇美をもって鑑賞者の前に提示されます。
昨年の「パリ、ルーヴル」展ではルーヴル美術館へのオマージュを兼ねて、その所蔵品やルーヴルという存在自体を問う試みがなされ、古代の柱はトイレットペーパーに、考古学的遺物はチーズとキャラメルに転換されました。
ダダイスムを支えた反ヒエラルキーの精神は、社会、政治、性の構造を再解釈しようとするジェラティンのアナーキーな情熱のなかに脈々と受け継がれています。
鑑賞者である我々は、究極的に自由な表現を追求することや、想像の楽しさを決して忘れないことの重要性に、改めて気づかされます。
【この展覧会について】
(メンバーの一人、アリからのEメールより)
「人なつこい女性が、えも言われぬ雰囲気で富士山の前に佇んでいる。
彼女は別府温泉で和やかな休日を過ごしていたが、地元の動物園で苦渋の日々を送っていたカンガルーに恋をした。
富士山は頭髪の上にそびえ立ち、彼女は富士山を帽子のごとくかぶっている!
というのが、プラスチシン(塑像用粘土)・ペインティングの一つに描かれるストーリーです。
今回の展覧会ではプラスチシン・ペインティングや小さい彫刻の他に、我々の解釈による、龍安寺的な、ドスンと来る感じの、独自解釈な仏教インスタレーションも展示する予定です。」
一体どのような展覧会になるのか、お騒がせアーティストの日本初個展を、是非お見逃し無く。
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