脇田和は1908年東京に生まれ、15歳で渡欧、17歳でベルリン国立美術学校に入学し、鋭い線で対象をとらえるデッサンを身につけて1930年に帰国します。
間もなく新進の画家として注目を集め、戦後はヴェネチア・ビエンナーレに出品するなど国内外で活躍、2005年に亡くなるまで旺盛な制作意欲は衰えることなく、多数の作品を制作し続けました。
脇田は子どもや鳥、花といった身近な存在に温かい眼差しを注ぎ、一貫して愛する世界を描きました。モチーフを絞り込み、じっくりと対象に取り組んで自分を表現するための多くの試みをなした作品群は一点ごとに驚くほど違いがあり、折々の脇田の顔を見せてくれます。
また、豊かな色彩の響きあい、巧みな画面構成、さまざまに異なるマチエールが一体となって優しく穏やかな雰囲気を醸し出す一方、隅々まで美意識が行き渡った作品はある種の謹厳さを保ち、相反する二つの印象は互いに呼応しながら洗練された抗いがたい魅力を放って見る者を虜にしてやみません。
本展は貴重なドイツ留学時代の作品を含む初期から晩年までの油彩画44点、素描、版画など約10点を展示し、80年にも及ぶ画業において絵画に対する飽くなき探究を続けた脇田芸術の奥深い魅力をご紹介します。
脇田和《双葉》1989年 脇田美術館蔵
脇田和《おやすみさん》1997年 脇田美術館蔵
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