幅31cm×高さ180cmの書12枚組みを初め、般若波羅密多心経、道徳経など、書の連作十数作品を展示。
絵画と化した詩をご高覧下さい。
「魏、晋の碑文体はわが師であり、拙、朴、壮、率、真はこれから学んだ。」
と蔡玉龍が書いている。
もちろん蔡は中国の古典を学び、多くのものを得ている。
中国本土から離れた台湾に生まれ育ったことが、むしろ書の勉強に専心できる恵まれた環境にあったのだろう。
隠者のように外界を断ち、虚心に自らの内界の闇に向ってひたすら書き続けた線。
それは身体の律動と同化した線なのだ。
たとえてみれば、律動にあわせて鍛え抜かれた一流のプリマバレリーナの骨格とそのまわりに過不足なくついた強靭で優美な筋肉をそなえた身体。
画集《狂草九潤 蔡玉龍》プロローグ(益田祐作)より抜粋
財団法人何嘉仁文教基金会、何嘉仁実業株式会社共同出版
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