岸田劉生(1891-1929年)は、ゴッホやセザンヌらの感化をうけて自己表現としての絵画をめざしました。しかし、じきに古典的な写実に変わり、風景、静物、肖像に忘れがたい作品をのこしました。
写実への移行は、自画像とならんで手当たりしだいに友人を描いた時期におきています。
自己表現のために「自分」を見つめれば見つめるほど、逆に「他人」も気になってくる・・・劉生の写実は、近代的な自己の意識に支えられていました。
自画像
1913年
損保ジャパン東郷青児美術館
のちに愛娘・麗子をくりかえし描いた劉生は、画家にとって人間の顔ほど興味深いものはないと語っています。
人間の顔は、美の奥深い世界への入口だったのです。
没後80年にあたるこの展覧会では、劉生の自画像と肖像画だけを約80点集め、人の顔を描くことを通して深化していく劉生の「写実の道」をたどります。
画家の妻
1915年
大原美術館
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