私にとって、そこに何を表したかが重要ではなく何を感じとれるかが問題である。
表した物は何もないのだから、主体の精神状態でおおよそ決まる。
わたしは、そこに美しいと思われる矩形を塗り、絵の具の状態をみまもる。
何度も塗重ねては綿布に浸透させたにじみは痕跡となる。
つまり、客体となる平面に、単純な形態を曖昧な状態に置くことで、客観視された概念を判断保留させる。
平面を痕跡で還元する事で絵画の成立を考える。
作品の内容は不定型であってはならない、むしろつまらない。
意図してそこに主体側に想像させるわけではなく、あくまで私が行動をとった結果の把握、「痕跡」でなければならない。
私が想像した形態意識が先に出てしまうと作品が成立しにくいからだ。
内容が無い事が内容なのだから内容があると本当に内容のない作品になってしまう。
私が描いたのではなく現象なのだから。
(日下芝)
日下芝 プロフィール
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