鷹取はこれまで、主に紙を媒体としたインスタレーションを発表してきました。
例えば、古い雑誌のグラビアページや風俗広告の切り抜きを空間全体にコラージュしていくようなものや、あるいはそうした写真をモチーフにしたドローイングやタブローの集積、丸めたティッシュペーパーで部屋の壁面四方八方を覆いつくす展示、草花を描いたドローイングに沿って切り抜きを施し網のように絡めた繊細なタペストリー状の作品などその手法は多岐にわたっています。
展示空間を満たす作品群の量感は圧倒的であり、個々の作品にフォーカスすればその手仕事は繊細で緻密、作家のもつエネルギーが巨/微の両極に向かって膨張していくようです。表面的で安易に捉えられがちであるセクシャルなイメージですら、その異様なまでの物量と密度によって飲み込まれてしまいます。
1980年生まれの鷹取は、地元岡山で思春期〜青年期を過ごした90年代後半、TVや雑誌等のメディアを介し、リアルタイムな情報の消費者であると同時に、そうした大衆文化を完全な共感を持って享受することができずにいたその体験に現在も影響され続けていると本人が語るように、自分で膨大に集めた当時の刊行物や映像などの中から引用するイメージと自身の妄想の断片を、描き堆積させていく事によって自らを作品制作へと駆り立てる内的必然性を見出さんと模索し続けています。
鷹取にとってインスタレーションとは日本における一般常識、いわゆる絵画=西洋絵画の認識と解釈に対する一種の反動であって、素材や展示方法において絵画の常識論を凌駕する事で、そして自分が80-90年代に体験したフラストレーションを今の時代にやや自虐的に援用する事で、杓子定規な認識や様式に対する批判的な意味合いも込めて敢えてあっけらかんとした態度で自らが抱えてきた「洋画」に対する疑問点に自分なりの解答を提示しています。
「少しダサイと思える事や、嫌み、イヤがらせみたいな部分をツッコンでもらいたい」
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