金山平三 「一番桜」 1954年 40.6×52.9cm (参考作品)
金山平三(かなやま・へいぞう/1883-1964)は、兵庫県神戸区元町通(現・神戸市中央区元町通)に生まれ、1905年に東京美術学校(現・東京藝術大学)に入学。
黒田清輝、藤島武二らに師事し、12年にはパリに渡りました。そのころのパリには、満谷国四郎、藤田嗣治、安井曾太郎、梅原龍三郎、児島虎次郎、足立源一郎など、多くの画家が滞在していました。
15年に帰国するまでヨーロッパ各地を訪れ精力的な制作活動を重ね、翌年の第10回文部省美術展覧会(文展)で初入選、「夏の内海」が特選第二席となり、翌17年には同じく文展で「氷すべり」が特選第一席となって注目を集めました。
また同年、後の妻となる牧田らくと出会います。らくは当時、東北帝国大学に在籍しており、国内初の女性理学士となりました。
金山平三 「雪の大石田」 1956-60年頃 33×45cm (参考作品)
この頃、ヨーロッパ同様に国内においても、山梨県勝沼、栃木県塩原、神奈川県箱根、千葉県御宿、静岡県御殿場など各地へ写生旅行を重ね、日本の風景を描く代表的な画家として頭角を現しました。
そして1923年に、はじめて山形県大石田を訪れ、47年からは大石田が生活の中心となりました。
優れた色彩表現と安定した画面構成によって、日本の風景を卓越した技法で描いた画家です。また、画材を厳選するなど、生涯を通じて油彩画のマチエールを探求しました。
とりわけ山形県大石田を描いた「雪景色」は、「日本人が見た日本の風景」として、高く評価されています。
金山平三 「大石田の最上川」 1948年頃 60.8×91cm (参考作品)
1964年、帰らぬ人となった金山は、その年にも北海道に写生旅行に出かけています。また遺志によって叙位・叙勲も全て辞退。
最期まで絵を描くことだけに人生を捧げた孤高の画家といえるでしょう。本展は、大石田の旧家出身である金子阿岐夫氏のコレクションを主軸として展示。
新年を迎えるにあたって、いま日本が忘れかけている原点を見失わぬよう、金山平三を取り上げ、また同じ時代を生きた画家たちの作品を紹介、その心情に迫ります。
金山平三 「静物」 16.7×32.4cm (参考作品)
日動画廊
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