「replace it for the life」2004,水戸芸術館現代美術センター(茨城)
撮影:谷岡康則
和田みつひとは、1997年よりギャラリーや美術館、カフェなどのガラス面にカラーシートを貼る、あるいは壁面に塗料を塗るといった空間に最小限の行為を加えることによって環境を一変させるインスタレーションを発表してきました。
その場にあるものは何も変わらないにもかかわらず、普段とは異なる色の光で空間が満たされることによって、私たちのその場に対する知覚は驚くほど一変します。
そうした普段は意識していない光の効果を可視化する作品を和田は一貫してつくってきました。
今回、和田はかつて服飾店であったLOOP HOLEの構造や機能を意識し、ショーウィンドウ部に青い透明のシートを貼り、また壁面と天井を青く塗ります。
さらにこの青く染まった部屋に、青、緑、黄の3色の照明を設置し、観客が奥に進むにつれて色が変化する光のグラデーションを展開します。
尚、会期中には、パーカッションやコンテンポラリー・ダンスなど他メディアで活躍するアーティストたちとのコラボレーションを試み、光をただ視るだけでなく、五感をフルに駆使して感じる機会を生み出します。
【作品について】
今回の展示で基調となる色はブルー。
そして、ブルーの上に「ブルー」、「グリーン」、「イエロー」の光が踊ります。
空間の中に光と色のグラデーションを作り出すのです。
また、ブルーの上に映った影の中に、照明の補色「オレンジ」、「ピンク」、「パープル」の色が見えてきます。
このプロジェクトが意図することは、色彩の効果により、場所のもつ特性を強調し印象づけることによって、鑑賞者が自分自身の視点を問う契機をつくり出すことです。
参加者が自らの中に日常と向き合う場をつくりだすこと。
生活の中にありながらも見過ごしている「美しさ」を光と色の中、そして自身の中に見つけ出す空間をつくり出します。
私は、人と場所との関係の中に築き上げられる作品、それ自体がひとつの出来事としてある作品を目指しています。
今回の展覧会では、キュレーターとの議論をとおした共同作業により進められ、他メディアで活躍するアーティストたちとのコラボレーションをも試みます。
そして、展覧会の為に訪れる鑑賞者だけではなく、会場となるLOOP HOLEのある府中の商店街を行きかう不特定多数の人々にも語りかけることをも試みるのです。
和田みつひと
和田みつひと プロフィール
▼関連イベント
■オープニング・サウンドライブ
1月16日(金)20:00~ 出演:鈴木悦久(パーカッショニスト)
■ダンスパフォーマンス
1月31日(土)20:00~ 出演:奥田純子(ダンサー)
■クロージング・サウンドライブ
2月21日(土)20:00~ 出演:伊東篤宏(美術家)
※すべて入場無料
LOOP HOLE
東京都府中市宮西町1-15-13
TEL:042-401-1633
http://studioloophole.com/