“曼荼羅”とは本来「物事の本質を得る」という意味があり、それが仏教においては最高の悟りによって見出された、世の真理の表現を称するようになりました。
それは古来、寺院の須弥壇における仏像の配置に反映されるとともに、絵画として様々な形式で描かれることによって、多くの人々に仏教の世界観を知らしめ、普及する役割を果たしてきました。
曼荼羅は仏教の経典や宗派によって多彩な表現様式が生み出され、古代インドに発しアジアに広がり、特に密教が根強いチベット等では今日も盛んに描き続けられています。
また、現代の日本美術においても、幾多の画家達により“曼荼羅”なる言葉が仏教的世界観としては勿論、それを超えて全人類、地球さらに宇宙の起源と真理の探究へとイメージが広げられ、多彩な表現が展開されています。
本展は、そうした“曼荼羅”を現代の視点から捉えなおそうという試みです。
まず、現代のチベットとネパールの高僧によって描かれた曼荼羅の数々から、伝統的様式の踏襲により時空を超えて伝えられてきた仏教の世界観を。
また米田昌功、亀井三千代の作品により、現代日本美術における曼荼羅の解釈と表現の一端を探ります。
米田昌功
米田昌功(1965年生まれ)は金沢美術工芸大学(日本画専攻)を卒業後、2005-6年にかけて文化庁芸術家在外研修でネパールに留学。
当地の伝統的仏画様式の研究に取り組んできました。そんな画家の曼荼羅は、蓮をはじめとする花々の装飾化により仏教的自然観、生命観を象徴化。
亀井三千代
一方、亀井三千代(1966年生まれ)は東京医科歯科大学(臨床解剖学専攻)において解剖図を研究しつつ、生命をテーマに絵画作品を発表。
その曼荼羅図も自然界の生命の構成とその連鎖を通して、世の真理に迫ろうとする模索です。
このように各々のモチーフや表現様式、方法は違いながらも、我々がこの世界に生きていることの真理を問うという姿勢に、いまも曼荼羅という世界観が共通して息づいている。
そのことを本展を通して、少しでも感じていただければ幸いです。
出品予定
・チベット曼荼羅
・ネパール曼荼羅
・米田昌功作品
・亀井三千代作品 他
羽黒洞木村東介
東京都文京区湯島4-6-11 湯島ハイタウン2F
TEL:03-3815-0431イタウン2F
TEL:03-3815-0431