■3階展示室 ボルジギン・トブチチゲ展
ボルジギン・トブチチゲ 「嵐-II」 2007
銅版画
開発や開墾によって、草原は砂漠化が急速に進む。その自然と共存していた遊牧文化も失われつつある。
私にとって遊牧文化が消え去っていくことは、自分の姿が消えることと同じように感じられ、出身文化の衰退とその文化を育んだ自然の減退が、自分を「無い」ものの動きや声への表現を探求させるようになった。
目に見えない「気」の動きは、子供の頃に、一緒に過した家畜の姿に入れ代わり、よりリアルに、心の動きにしたがって、様々な姿態を見せ、また新たな存在のあり方を予感させる。
動物は人間よりも自由な存在であり、素直なものだ。
私の作品における動物は自然を体現するものだが、同時に、自然を超えた生き物、すなわち人間でもある。
そして、自分でもある。
版のある部分がなくなることで成立する、腐蝕銅版画の言語によって、自分の心の動きをより素直に表現できればと考えている。
ボルジギン・トブチチゲ
■4階展示室 大河原 典子展
大河原 典子 「舞台裏」 2008
紙本着彩
「リアル」に。
なにげない時間をすごしているとき、携帯やPCの液晶画面につい視線や思考を奪われる毎日です。
でも私は、そんなもののない何千年の間、変わらずに喜び、悲しんでいきてきた人類の末裔で、何かに直に共鳴して、自分の身体に生まれたユレを、描くことの源泉として汲んでいたいです。
それから、絵が上手い人なんてはいてすてるほど世の中にいる上に、私は絵がうまくない。
じゃあ私にできることって何かと考えてみました。
スキなものを臆せずに描くことかなと今は思います。
でもまあ、現状でデジタルなしでは生きられなし、一人で描いているわけでもないし、いろんなものが入る大きな器としての「リアル」を求める旅です。
千里の道も一歩からです。
大河原 典子
▼出品作品
ボルジギン・トブチチゲ 版画17点
大河原 典子 日本画 15点
※入場無料
▼会期中のイベント ※イベントは全て無料・予約不要
(1)ボルジギン・トブチチゲ 12月20日(土)アーティストトーク 午後2時-4時
「モンゴルの風土と自作との関連について」作家が自作について語ります。
(2)大河原 典子 12月6日(土)・12月14日(日)ワークショップ 午後2時-4時
「墨絵の模写に挑戦しよう」
「墨に五彩あり」といわれています。墨一色で表現される色の世界を、簡単な模写をしながらのぞいてみます。このイベントでは、模写のこつや楽しさも感じていただきたいと思います(作家より)。
・材料はこちらですべて準備しております ・所要時間 30分-1時間程度
財団法人佐藤国際文化育英財団・佐藤美術館
〒160-0015東京都新宿区大京町31-10
Tel03-3358-6021 Fax03-3358-6023