オープニング: 11月12日午後6時より
池谷はまるで自己を内省するかのような人の顔をモチーフとした数々のドローイング、絵具による突起でキャンバスを覆いつくし、その塗り重ねた様々な色彩が融合する中に、某かのシルエットがどこか浮遊感を伴って見えるようなタブロー、粒状にした絵具を繋ぎ合わせ細い紐状にしたものを用いたインスタレーションなど、京都市立芸術大学大学院在学中より精力的に制作活動をしてきました。
児玉画廊においてはグループショーのシリーズ"Ignore Your Perspective"やアートフェアなどでこれまでも断片的に紹介して参りましたが、本展は昨春の大学院修了を経た池谷の初個展となります。
池谷は制作過程において自己のイメージの終着点に辿り着く為に、まず自らのイメージを手応えのあるものとして確認すべく一度具現化させ、イメージと表現とを客観視し、その関係をより円滑な状態にすべくイメージを再度模索しキャンバス上に発展させていきます。
この間の時間の経過、外化と揚棄の反復を経て行為が層をなし、物質感を伴ってくる頃、池谷の描きたかった絵に近づいていきます。
池谷の言う「描きたかった絵も忘れた頃、完成に近づいていくことがよくある」、つまりプロセスに身を委ねるのではなく、行為を繰り返す中で意識下に行われているイメージの擦り合わせにより、池谷がイメージする某かがある程度明確な形をもつまでに描き出された時点で作品と池谷との関係は希薄なものとなって完成するのです。
「今は、さまざまなものが入れかわりやってきて、終着点を見つけることができないので、永遠に下地を描きつづけている感じです。
キャンバスにキャンバスを張る感じ」
今回の展覧会では、制作スタイルは一貫しているものの、キャンバス上において喪失していく自身の焦点を探るかの如く、延々と続けられた行為の痕跡はより一層抽象味を帯び、以前にもまして色面の構成要素が複雑さを増し、豊かな質感を伴った作品を存分に堪能して頂ける事と存じます。
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