I see you - No.2 / 145.5 x 89.4 cm /water color and ink on wood cut
▼作家コメント
外界の世界と内在とを行ったり来たりしながら日々は流れていきます。
ある時私は外界の世界と私とがくっきり離れると世界が眩しくキラキラして見えるということに気が付きました。
そこはどこか懐かしさに包まれた場所。
しかしその場所には長くは居られません。
曖昧で優しいその掴めない光の境界線は影と混ざり合い反発し変容していきます。
それを観察し私の中にある小さな微かな残像を見つめてみました。
そして私の中を透りすぎていった光の感触を思い出しています。
float / 73 x 53 cm
drop
▼作家・展覧会紹介
塩川彩生は1978年神奈川県に生まれる。
幼い頃から一人じっと物思いに耽る大人しい少女だった。絵を描きながら、想像と現実の世界を行ったり来たりして遊んだ。
「どこから生まれて来たの?」という問いに、母は「お母さんのおなかの中よ。」と教えてくれたが、それは彼女の本当の疑問の答えではなかった。
「そのもっと前は、どこにいたの?」
以来、その謎は彼女の胸の内で大きく成り、今日では制作テーマの主軸とも成っています。
塩川は「絵の中に表現される世界は、鏡の中の世界に似ている」と言います。虚像の世界でありながら、実際には見ることのできない自分の姿までもが映し出される鏡の世界。
重力も時間の束縛もない理想化された自らの精神世界をそこに重ね、虚構の世界に存在するもう一人の自分にリアリティーを覚えます。
それと同時に、現実の世界に存在することの不確かさを問い直すのです。
そのありのままを感性豊かに、「心を映し出すもう一つの鏡=絵」の中へと視覚的に繊細に描き出していきます。
日本の木版の技法から生み出されるその世界観は、包み込むような温かさと淡く優しい光に満ちた世界を私たちに示してくれます。
塩川彩生 プロフィール
KIDO Press,Inc.
〒135-0024 東京都 江東区 清澄1-3-2-6F
Tel : 03-5856-5540
http://www.kidopress.com/