【作品紹介】
ミヒャエル・ファン・オーフェンのペインティングは、最小限のブラッシュストロークで、人物や風景の輪郭を鮮やかに立ちあがらせます。
画面上に認められる要素はごくわずかですが、注意深くコントロールされた筆致と配色、光によって、私たちは自由な想像力を働かせ、そこにまるで西洋絵画が描いてきた普遍的なモチーフが再現されたかのように感じます。
事実、ファン・オーフェンの作品は、18世紀以降の古典作品から材を取ることもあります。
2003年の作品「Horatier(ホラティウス)」は、新古典主義の画家ダヴィッドが描いた1784年の作品「ホラティウス兄弟の誓い」を元に描かれました。
そこには強いコントラストの美しい直線が描かれているに過ぎませんが、ダヴィッドの絵を見たことがある人なら即座にそれを思い出すことができるでしょう。
こうした特定の作品に限らず、彼が取り上げるポートレート、風景、静物などのモチーフは、どれも長い絵画の歴史の中で繰り返し描かれてきたものです。
たった一刷毛の筆跡が、人の顔や衣服、山の陵線に浮かぶ明かりのように見えてきます。
抽象絵画的とも言えるミニマルな表現方法でありながら、明らかに具象の世界を想起させるファン・オーフェンの絵画は、タブローの豊潤な可能性を謳歌してやまない作品です。
? Michael van Ofen, 2008
【この展覧会について】
本展は、日本におけるミヒャエルの初めての個展です。
6点の新作を展示いたします。どうぞこの機会にご高覧下さい。
【作家プロフィール】
ミヒャエル・ファン・オーフェンは、1956年ドイツ、エッセン生まれ。
日本では1995年、大阪の国立国際美術館で開催された「現代ドイツ美術:ボイス以降の若き作家たち」展にて、ゲルハルト・リヒター、ジグマール・ポルケ、トーマス・シュッテ等と共に紹介されました。
ヨーロッパ各地で数多くの展覧会に参加しています。
小山登美夫ギャラリー
東京都江東区清澄1-3-2-7F
03-3642-4090