植物、動物、情報などをテーマに、合成、積み上げ、組み合わせ、切り貼り、といった手法を駆使。メディアによって定着のトーンをコントロールし作品制作を行う、セサミスペース。
繊細な特殊紙や、キャンバスなどを支持体に、あるときはボールペンであるときはアクリルなどで細やかでいて大胆なループを描き、具象と抽象のはざまの世界を表現する、末むつみ。
今回の「Face to No Face」では、両作家の向き合える作品は向き合わせ、向き合えない作品は向き合わせないまたは向き合えないを展示ポリシーに、それぞれの作品がひとつの作品として成立していながらも他の作品との連なり(または反発、擦れ違い)によってさらに面白さを醸し出すような「直球」「変化球」「魔球」の混ざり合った空間をめざします。
「ひざをつきあわせる」という慣用表現があります。人と人が真摯に向き合う場面ではこのような密接なコミュニケーションが必要になります。
ギャラリーに訪れた方が、近くで作品と向き合うと、その作品が気になったりならなかったりと、その時点でなんらかの作品との接点が生まれます。
このような出会いの磁場のなかで、あらかじめ作品と作品とが対話したりできなかったりする設定を施し、その場へ後から第三者として訪れた鑑賞者が融合し、さらに複雑で面白みのあるコミュニケーションの場が生まれればと考えています。
「ひざをつきあわせて」みたが…。
この「…」のコミュニケーションとディスコミュニケーションを展示でも表現できればと思います。
ふだんわれわれが陥りやすいコミュニケーションのズレは、発信者のメッセージの届け方だけではなく受け手の先入観なども影響してくると思われます。
コミュニケーションというと、どちらかといえば発信者の発信方法のスキルの方に目がいきがちですが、受信者の受け取り方、先入観、そのときの気分といったメンタルな部分もけっして無視できません。
作品と鑑賞者、作品と作品のコミュニケーションにおいても、人と人、また国と国における対話不能や価値観のズレなどと同じようにコミュニケーションとディスコミュニケーションがいりまじった部分があるのではないでしょうか。
ギャラリーを訪れた方が、たんに好き嫌いの興味だけで終わらず、もう一歩、相手を知ろうとすることをあらためて感じる場になれば、加えて作品に新たな視点や価値が付与される場になればと願っています。
fabre8710(ファーブル芸術事務所)
大阪府大阪市鶴見区放出東3-6-25-105
TEL: 06-6968-8535
http://www.fabre8710.com
・JR学研都市線「放出」駅下車、徒歩約3分