「エッフェル塔の通り」 油彩 20P
1969年、東京都に生まれた蛯子は、幼年期から少年期の10数年にわたる滞仏を経て95年に武蔵野美術大学油絵学科を卒業(卒業制作展優秀賞受賞)。
2001年にはパリのメモワール・マニェティックで個展を開催し、翌02年に第37回昭和会展優秀賞を受賞。
本展は04年の小品展、05年の個展に続く、日動画廊での新作個展となります。
現場で制作することにこだわりを持つ蛯子真理央。本展のサブタイトル「風のなか、雨のなか、光のなか」は、蛯子の制作スタイルを指しています。
例えば風景を描くとき、写真やスケッチを元にするのではなく、現場にイーゼルを立て描き始めます。ときには強風や突然の雨に降られることがあったりしながらも、そのような周りの状況すべてを含めてモチーフと考え描いています。
風景の表層的な情景だけを描写するのではなく、蛯子自身が肌で感じる抽象的な感覚をもキャンバスのなかに表現しているのです。
「セーヌとシテ島」 油彩 20F
数年前パリの街中でイーゼルを立てて制作していたとき、アトリエ制作とは違った不便さの中に身を置きながらも、現場でしか発見できないリアリティを追及する面白さを実感したといいます。
現在、最も興味があることは「自分にとって美しいと感じるものに多く触れること」だと話す蛯子。
絵画に限定されない芸術や料理、思いもかけない瞬間、人々との関わり、それら日常に潜む「美」を感じ取り、発酵させて自分の作品のなかに還元していきたいと考えています。
学生のときに夢中になったエドゥアール・ヴュイヤールの魅力を、昨年再発見した蛯子。それは自身の成長が見せた魅力なのでしょう。
マティエールに、また色彩に力強く成長を果たした新作に、どうぞご期待ください。
「逆光の静物」 油彩 8F
日動画廊
東京都中央区銀座5-3-16
TEL:03-3571-2553