「winkの楽園」 2008年
油彩、キャンバス 145.5×112.0cm/1点
©MakikoTanaka
Courtesy of Yumiko Chiba Associates
オープニングレセプション:9月7日(日)17:00から
協力:エディション・ワークス/ユミコ チバ アソシエイツ
田中麻記子は、今年はじめての制作となる油彩を発表し、肉厚な色彩と深化した強度のある世界観が好評を得ました。
この度、中部地区で初の発表となるギャラリーM個展 『wink』では、80号三連作から小品まで油彩新作約20点を発表するとともに、鉛筆画、版画シリーズ『madame pouple』もご紹介いたします。
田中麻記子の体液
体液が、そのまま、とろりと流れ出たような絵だ、と思った。
しかも、粘着質の体液が。
画家は、これは「絵画」ですが、「音楽」のように体感して欲しい、と言う。
その気持ち、わからないではないが、これこそ「絵画」じゃないか。
「絵画」にまつわる、つまらない慣用句に、ほとほと嫌気がさしてきたんだろう。
「音楽」のように、脳髄にダイレクトに届けられないものか、と思案してきたんだろう。
そんな彼女は、さんざんいろんなことをやって、でも結局、油絵にたどりついた。
どうどうめぐりの末に、スコンと抜けて、粘着質をそのまま、とろりと流した。
私は勝手に、そんなありようを想像している。
間違っていたら、ごめんなさい。
田中麻記子とは、ほんの一瞬会って、ちょっと話しただけだ。
以前、鉛筆や水彩の絵を一瞥したが、油絵ほどいいとは、思わなかった。
油絵が、体液をとろりと流すため、彼女にとって最良の方法なんだろう。
彼女が思う「音楽」のような油絵を、さらにどんどん描いてくれますよう。
これから、さらに体液があふれ出るよう、祈念しておりますので。
山下裕二(美術史家・明治学院大学教授)
アーティスト・ステートメント
無彩色の鉛筆画のあとの油彩画で最初に発見したことは、
透明だと思っていた空気の色は七色で、その一色の中にもまた枝分かれして七色が存在し、
またその一色の中にも・・と永遠の細やかな虹が連続しているということです。
そしてそれらの全体像はまるでにんげんの血管や細胞のように絡み合っていて、
そのまま見えたとおりに塗らないと、自分のからだの中も居心地悪くなりました。
なので、自分のなかみとこの散らばった空気の接点を確認出来もし、
その状態で空想をすると、虹が更に具体的な指令を出してくれるのです。
2008年7月 田中 麻記子
田中麻記子 プロフィール
ギャラリーM
〒470-0131 愛知県日進市岩崎町根裏24-2
TEL: 0561-74-1705
http://gallery-m.cool.ne.jp/