フォートリエ、サム・フランシス、ヴォルスなどを紹介し、コンテンポラリーギャラリーとして日本の草分けであった南画廊(故・志水楠男氏)が、1956年画廊オープン記念展として選んだのは「現代日本美術のパイオニアとしてふさわしいアーチスト、駒井哲郎」であった。
更に遡る1948年、「孤独な鳥(掲載作)」が誕生、まさに孤独で孤立無援の状況下の中生み出された名作であり、当時最も新しく清冽な現代アート作品でもあった。
今展はこの名作を中心に、駒井が深く関わった東京芸大版画教室で学んだ2人の新鋭アーチストを紹介する企画です。
駒井哲郎 「孤独な鳥」 銅版画
誰もが知っているランドマーク的な建築・風景を、廃墟の街に変えてしまう元田久治(1973-)の作品は、退廃美を超えたクールでモダンなアート作品としてすでに国内外から高い評価を獲得しています。
元田久治 「Indication-Ginza Chuo Dori」 リトグラフ
池田俊彦(1980-)は、(線ではなく)極細密な点描と腐食時間の差異により、生死を拒絶したような人物を創造します。すでに関係者の中での評価は高く、国際展での受賞や文化庁買上げ作品(「老腐人-R(掲載作)」)となっています。
池田俊彦 「聖老児立像」 銅版画
ペインティングが主流の現代美術ムーヴメントの中、自らが選んだ手法で挑む2人のアーチストと、半世紀以上前に小さな紙片に“誰も生み出す事の出来なかった小宇宙”を表現した駒井哲郎。
小さな名作「孤独な鳥」から始まる<コンテンポラリーアートとしての版画芸術>をご紹介したいと思います。
不忍画廊
〒103-0028 東京都中央区八重洲1-5-3 不二ビル1FMAP
TEL: 03-3271-3810