アレクサンダー・ゲルマンとポール・デイビスは、旧知の友人であり、その互いにまったく相容れない作風を尊敬し合う良きライバルでもあります。
今回開催される二人展は、2005年にNYのアンドリュー・ロース・ギャラリーにて開催された「Gelman/Davis」展に続く、第二弾です。
アレクサンダー・ゲルマンは、「サブトラクション(引き算)」という独自のクリエイティヴ論理によって、ビデオ、グラフィック、インスタレーションなど様々なメディアを通して作品を制作しているメディアアーティストです。
その作品は、既にMOMAやスミソニアン図書館に収蔵されています。
ポール・デイビスは、イギリス人特有のユーモアと洗練されたドローイングによって知られているアーティストです。
そのファンは日本、ヨーロッパ、アメリカなど世界中に渡っています。
今回の二人展は、それぞれの作品を、それぞれの異なるスタイルで、模倣し合うというものです。
例えば、ポール・デイビスは、アレクサンダー・ゲルマンに、自分のドローイング作品を渡します。それは生活・愛情・性・死・無意味さを描いた、ポール特有の風変わりで空想的な図です。このポールの作品を、ゲルマンは“ゲルマン化”し、自分の作品とします。
一方、ゲルマンはデイビスに、その理知的で完璧に計算されたイメージを渡します。このゲルマンの作品を、今度はポールが、その特有のドローイング・スタイルで“デイビス化”します。
ゲルマンの作品は、ポール特有のフリーハンド・スタイルで再構築され、ポールの作品となります。いわば、デイビスの作品がゲルマン化され、ゲルマンの作品がデイビス化されるのです。
著作や所有権、オリジナリティに関する問題が大きく取り上げられている今日のアートシーンにおいて、本展覧会は、非常にユニークなものになるでしょう。
NANZUKA UNDERGROUND
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