【作品紹介】
ゲルト&ウーヴァ・トビアスは双子の兄弟から成るユニット・アーティストです。
彼らの作品は、既存のホワイトキューブではない、オリジナルの展示空間を構築するところから始まります。
その中心をなすのはまず、2m四方を超える巨大な木版画であり、さらに陶器の彫刻や、ドローイングが加えられます。
彼らの出身地であるルーマニア、トランシルヴァニア地方の古い民話を思わせる、魔女や悪霊などの物語的なモチーフが、多くの木版画では抽象的な図形の複雑な組み合わせによって、ドローイングではよりフィギュラティヴに表現されます。
もっともらしい台座の上に乗せられる陶製の人形は、恐ろしくもどことなくユーモラスな風体です。
壁の色はグラフィカルな矩形に区切られ、まるで巨大な美術館で古い名画を観ている時のような、落ち着きのある深い色に塗り変えられていきます。
また、タイプライターの周りに紙を回転させて作られるドローイングのシリーズ、展覧会ごとに彼ら自身が作るオリジナル・ポスターの木版画など、彼ら自身の図像学を巡る多彩なアプローチが、独特の絵画的な喜びとユーモアを持って披瀝されます。
? Gert & Uwe Tobias, 2008
【この展覧会について】
本展では、大きな木版画が3点、ボルト(円筒形の紙筒で、巻き紙を運搬する際保護するもの)の台座に皿のような形の陶器が置かれ、更にその上に置かれる陶製の彫刻が3点、不気味なピエロや小人のドローイング、またタイプライターによる記号的なドローイングが数点、展示されます。
また、銀座のTKG Editionsでは、同時開催で小さいサイズの版画の展覧会を行います。
【作家プロフィール】
双子の兄弟であるゲルト&ウーヴァ・トビアスは1973年ルーマニア生まれ。
2002年までHochschule f?r Bildende K?ste(ブラウンシュバイク、ドイツ)在籍。
現在はドイツのケルンにて制作活動を行っています。
2007年から今年2月にかけて、ニューヨーク近代美術館で若手の作家を紹介する展覧会シリーズで、やはり木版画と彫刻からなるインスタレーションを発表しました("Projects 86" )。
また今年5月まで、ドイツのKunstmuseum Bonnでも個展を開催するなど、数々の展覧会で精力的に作品を発表しています。
主なパブリックコレクションに、ニューヨーク近代美術館、Saatchi Collection(ロンドン)、Sammlung Goetz(ドイツ)、Hammer Museum(ロサンゼルス)、Mondstudio Collection(ドイツ)、Museum of Old and New Art, Tasmania(オーストラリア)などがあります。
小山登美夫ギャラリー
東京都江東区清澄1-3-2-7F
03-3642-4090