▼イベント
6月7日(土)
17:00-18:00 アーティストトーク 磯邉一郎×森啓輔(本展企画者)
18:00-19:00 レセプションパーティ
6月14日(土)
14:00-15:00 アーティストトーク 磯邉一郎×星野武彦(作家)×山口智子(作家)
C5 http://apm.musabi.ac.jp/c5/
「顔」こそは、私たち個人を最も代表する身体の部位でありながら、それにとどまることなく、さまざまな問題を私たちに投げかけてきます。
西洋美術史の文脈においても、古来ヘブライズムにまつわる神の顔の認識の不可能性から始まり、中世のポートレートや、近代の作家の自画像まで、その時代ごとの特徴をおびた作品が数多く存在し、常に顔の問題が取り扱われてきました。
また、そのような顔に対する人間の特別な関心は、そもそも顔の中で生み出される「感情表現」の読み取り行為が、人類の生存に必要不可欠であったことに端を発します。
そのような、すべからく進化した認識機能としての顔への飽くなき関心は、現代においても認知心理学、医学、美術など幅広い分野にまたがって、専門的な研究がなされる結果にいたっています。
さらに、大量消費社会、情報化社会としての現代において表面化している、アイデンティティや他者、身体性といった人間の実存に関わる問題は、全て顔の問題と密接な関係を持ちえています。
無機的な顔が広告媒体で数多く露出し、一方でディジタル・コミュニケーションにより、ますます顔の対面が減少していく現代。
そのような現代における顔の問題を、今一度、美術の分野から学術的な対象として研究することは、大変有意義なことであることと思われます。
今回、C5 Exhibition vol.2で取り上げられる作家である磯邉一郎は、鉛筆を用いて独自の顔を描きだします。
その顔は、大変細かな反復と集積の作業によって成立しますが、誰かの顔として特定不可能でありながら、豊かなイメージをそなえて私たちの前に立ち現れてきます。
ダブルイメージ、視線、ポリティクス、他者といったさまざまな問題の内包を予感させる磯邉の「顔」は、まさしく認知心理学と美術の交差点に位置する特異な存在ではないでしょうか。
その認識不可能かつ不可思議な顔は、私たちを虜にしてやまないのです。
今回の展示では、過去の映像作品や絵画作品以外に、新作のドローイング、立体作品などが展示され、より深化した作家の問題意識がうかがえることでしょう。
APMG (武蔵野美術大学9号館6F608室)
〒187-8505 東京都 小平市小川町1-736 武蔵野美術大学内
・JR中央線国分寺駅北口バス停より 「武蔵野美術大学行き」バス20分
・西武国分寺線・鷹の台駅下車 徒歩20分
http://apm.musabi.ac.jp/c5/access.html