【作品紹介】
櫃田珠実の写真作品は、様々なイメージの組み合わせによって、どこでもない場所を表現しています。
”Fibbing”と題されたシリーズでは、晴れ渡った空に深紅の巨大なカーテンが垂れ、私たち鑑賞者はまるで重々しい緞帳が下りる寸前に舞台の奥を垣間見るように、どこまでも続く空と地平とを、ほんの少しだけ覗くことができます。
いったんフィルムで撮影されたイメージがコンピューターに取り込まれ、再び印画紙へと焼き付けられます。
櫃田は97年からこのデジタルフォトの手法を始めました。
現実世界では決して見ることのできない光と闇、花と泉、独特の透明感の広がる世界は、実在するものと作家の記憶とが織りなす、普遍的な光景なのです。
? Tamami Hitsuda, 2008
【この展覧会について】
『The Garden』と題された本展では、作家にとっての理想郷とも言える、風景のシリーズを発表します。
普通の場所の普通の写真を撮りため、繋ぎ合わせた、非日常風景の中には、神聖な動物も登場します。
絶え間なく湧き出る豊かさの象徴として用いられる噴水のモチーフや、永遠に咲き乱れているかのような花々の作品等、作家が「聖俗合体」であると語る新作5点を展示予定です。
風景画という伝統は様々な時代と場所での理想を描いてきましたが、作家の中に広がる理想の世界とは何か、是非この機会にご高覧下さい。
【作家プロフィール】
櫃田珠実は1958年、香川県高松市生まれ。
1982年愛知県立芸術大学美術学部絵画科卒業、84年同大学大学院修了。
97年英国王立芸術大学大学院修了。BAVA Awardsを受賞しました。
98年にはエプソンカラーイメージング写真部門大賞受賞。
小山登美夫ギャラリーでは、99年、01年、03年以来、5年ぶり 4度目の個展です。
主な展覧会に、「Rosa!」(05年、東京藝術大学大学美術館、東京)、「人工夢」(05年、名古屋市民ギャラリー矢田、名古屋)「新花論」(04年、東京都写真美術館、東京)、「変身願望」(02年、福井市美術館、福井)、「フォトアクティブ 櫃田珠実+吉岡俊直」(02年、名古屋芸術大学、名古屋)などがあります。
小山登美夫ギャラリー
東京都江東区清澄1-3-2-7F
03-3642-4090