このたび、NANZUKA UNDERGROUNDは、姉川たく(1970-)の個展を開催いたします。
今回の展覧会に向けて、姉川は、その創作活動の可能性を広げるべく、ドローイングと刺繍のコンビネーションという新たな表現にチャレンジしました。
「秘密の寓話」と題された今回の展覧会は、姉川の得意とする奇異とコミカルという素材を、秘められたストーリーによって紡ぎ上げた、渾身の新作シリーズからなります。
姉川たくは、1995年に神戸芸術工科大学大学院修士過程を卒業した後、主にアニメーションやデジタルコンテンツといったメディア・クリエイティヴの現場にて活躍する一方で、2002年以降アーティストとしての自画像を模索するべく、刺繍を用いたアートワークに取り組んできました。
姉川の独創性は、1999年に話題となった人気子供番組「ポンキッキーズ」における「なぞのやさい星人あらわる」において大きな脚光を浴びたように、「奇を衒う」というプログラミングを生まれながらに持ち合わせている点にあります。
姉川の作品には、「本当は恐ろしいけど、どこか笑えてきてしまう」といったような奇異な場面が頻繁に登場します。
人の深層心理に、ほんの僅かに触れて、また逃げ去るような、絶妙な空気感を持つ姉川の作品は、計算された悪戯心と天然に形成されたフェティシズムの絶妙なバランスで成り立っているのです。
姉川は、今回の個展に寄せて、次のような詩を謳っています。
「秘密の寓話が語られる時、喜びは痛みへ、悲しみは恍惚へと昇華される。
細部に宿る精霊たちは、やがて脳の王国で踊り出す。
秘密の痛みの中に、物語を閉じ込めて、僕の寓話は語られる。」
リニューアル拡張後のNANZUKA UNDERGROUNDにおける最初のギャラリーアーティストの展覧会として、相応しい展覧会になる事と期待しています。
どうぞ、この機会に皆様にご高覧いただければ幸いです。
NANZUKA UNDERGROUND
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