▼オープニングレセプション
2008年3月15日(土) 18:00-20:00
パフォーマンス: 19:00スタート
山本現代では3月15日(土)より今後ますます期待される気鋭の作家、児嶋サコ‘Orphan and the Old Single’展を開催いたします。
自らがハムスターに扮し檻の中で一週間暮らすパフォーマンスや、荒々しいマチエールの表現方法で知られる児嶋サコの新作個展です。
今回の展示ではペインティング、ドローイング、彫刻作品をご紹介いたします。
彼女のペインティングは一見速筆で荒く描かれたようでありながら、その下地は何度も塗り重ねられており、いくつものイメージを繰り返し描いた後に出来上がります。
たっぷりと積まれた絵具によって現れる虚ろな動物や風景は、荒々しい筆跡でありながら不要なものはありません。
暗い森と思わせる奇妙な世界に一匹佇む動物たちは、孤独でありながらも彼女の筆によって強さを与えられたような不思議な魅力をもっています。
Orphan and the Old Single みなしごと老いて子のないもの 2008
キャンバスにアクリル Acrylic on canvas 1130×1625mm
今回の平面作品のモチーフには卵とネズミが繰り返し現れ、この組み合わせはタイトルのOrphan and the Old Single (みなしごと老いて子のないもの)を表しています。
しかし両者は現実では存在しない生態の組み合わせであり、ネズミが大切に卵を育てるも生まれてくるものは自分とは違う種別の生き物で、共には生きられない虚しさの現れでもあります。
ペインティングではサイズを100号まで拡大し、色彩は鮮やかになりいっそう強靭さが増した出来映えとなっています。
また、そこに描かれた動物達は、それぞれが虚しさや悲しさ、怒りといった擬人化された表情、瞳をしており、半具象のような筆跡や荒々しいマチエールの表現方法は、抽象的であるからこそ見るものの心情を投影させます。
The Orphan and, みなしごと, 2008
ソフトラバー、流木、ガラス卵、リボン、ソフトウレタン、その他
Soft rubber, Driftwood, Glass egg, Ribbon, Soft urethane,
新作の彫刻作品はハムスターの上半身と女性の下半身を持つ半身半獣で、彼女のパフォーマンスのイメージから発展した作品です。
艶かしい足を広げて横たわるその姿は、誘っているようなでありながらその上半身はこわばり表情はしかめ面で、まるで受け入れることを臆し拒否しているような、そんな少女の複雑な心境を表しているようであります。
児嶋のメインモチーフとなっている動物の姿には悲喜劇が共存し、人間の中にうごめくマイナスな心情をコンセプトにしつつも、ユーモアを交え、独特な魅力で見る者を彼女の世界へ連れ込みます。
この機会に、皆様どうぞご高覧いただけますようお願い申し上げます。
▼オープニング・パフォーマンス 2008年3月15日(土) 19:00 スタート
「ふわふわの毛のコスチュームを着た児嶋がハムスターになりきり下に敷かれた布の上を動き回る。
この姿は児嶋の中にある自分の姿であると共に、無抵抗な存在であることを象徴している。
しばらく、ごそごそ動いていると、上から水風船が落ちてくる。
きょろきょろと様子をうかがっているとどんどんどんどん落ちてくる。
かなり大きく、少々身に危険を感じるようなこの水風船は、人間の精神的弱さゆえに日々受け続けるストレス。
また、逆に無意識に人に与えている攻撃、そしてその行為に対する好奇心や快感を表している。
上から落ちてくるイメージから爆弾を連想する人もいるかもしれない。
涙を連想するものもいるかもしれない。
水爆弾が落ちてきてもハムスターの児嶋はただ逃げ回り、耐え、びしょ濡れ(ぬれねずみ)になるだけである。
その表情は悲しそうでも怒っているわけでもない、無表情で、ただじっと耐えている。」
―児嶋サコ
児嶋サコ プロフィール
山本現代
108-0072 東京都港区白金3-1-15-3F
Tel : 03-6383-0626
三田線・南北線「白金高輪」駅4出口より徒歩8分
日比谷線「広尾」駅より徒歩15分