現在、金丸が取り組んでいる制作にはいくつかのシリーズがある。
もっとも多く発表の機会があるのは「動物シリーズ」。「動物シリーズ」から派生し、サボテンを題材とした「カクタスシリーズ」。
また、全く異なるアプローチから発展した「街シリーズ」、「カードシリーズ」などがある。
本展では昨年より取り組んでいる「街シリーズ」の世界をさらに進化させた作品を発表。
会場全体をひとつの街と見立て、空間も含めて作品として表現することによって、「街シリーズ」のさらなる深化を試みる。
0号から50号までおよそ15点を出品。
「午後の風車」 F6 ミクストメディア
■「街シリーズ」について
「街シリーズ」は、得意とする様々な色彩のマチエルをベースに、麻布や英字新聞のコラージュを多用した、重厚なマテリアル感のある絵肌が大きな特徴である。
作品から見えてくるものは、主に建物、道、木、川、といった、「街」を構成する要素としてありふれた題材である。
しかし、近くに寄って目を凝らして作品をみていると、動物や植物、日用品など何の脈絡もないモチーフが見え隠れしていることが分かる。
コラージュされた布切れをひとつの画面と見立て、「街」とは関係のないたくさんの題材が登場し、それらが層を織りなすように画面の奥行きを築いている。
それは無機物であるはずの「街」の、あるいは「作者」のちりばめられた記憶の断片を反映しているかのようであり、作者としては、この世に誕生してから現在に至るまで、同時代に体験してきたさまざまな事象への思いや愛着を、作品を見る人と共有できればという願いから、このような表現にたどり着いている。
街は特定の国や地方の町並みではなく、あくまで架空の街である。デフォルメされた建物などは、作者が幼い頃に見た風景や絵本で見た町並みなどが、もしかしたら反映しているのかもしれない。
ノルタルジックであり、遠近感やパースなど全く無視した、まるで子供が描く落書きのような味わいが、「街シリーズ」のもうひとつの特徴である。
また冒頭でも触れたように、画面には何の脈絡もないモチーフがちりばめられていおり、それらを探してみるのも「街シリーズ」を見る上での隠れた楽しみ方でもある。
四季彩舎
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