小西紀行は1980年広島県生まれ、弱冠27歳ではありますが、今年の1月に開催された武蔵野美術大学大学院の修了制作展では、展示会場に小屋を建て、その内と外で異なる空間を演出してペインティングを展示するなど、圧倒的な表現力/構成力で注目を集めました。
「無題」 2006年 キャンバスに油彩 h.45.5×w.38cm
ペインティングの中でも「肖像画」に取り組む小西紀行は、モチーフと動機がなるべく繋がるよう、自身の家族の写真などを参考に描いていると言います。
しかしながら、描かれた人物の、目、鼻、口は赤く、髪の毛は尽く真っ白で、人種、年齢、性別など、特定の人物を確認する上で必要な一切の情報を伺い知ることはできません。
その人物たちは時にユーモラスな表情を浮かべながら、ゆらゆらとたゆたう絵の具の筆致、色面の中に浮かんでいるようです。
それはまるで記憶という海の中をゆらめくようでもあり、観る者の想像力を喚起して止みません。
「無題」 2006年 キャンバスに油彩 h.91×w.116.7cm
「無題」 2007年 キャンバスに油彩 h.116.7×w.80.3cm
ARATANIURANOで開催される「人間の家」展では、新作ペインティングをシンプルに展示する一方、清澄白河のMAGICROOM - では、12月1日(土)から12月15日(土)の間、修了制作展で話題を集めた、
小屋を思わせる空間構成の展示が再び現れます。
ぜひとも併せてご覧ください。
ARATANIURANO(アラタニウラノ)
http://www.arataniurano.com
東京都中央区新富2-2-5 新富二丁目ビル3A
TEL:03-3555-0696